親子で始める 英語100万語!

P12.13
もちろん、英語にまったく触れたことのない子どもたちは、いきなり英語の本を与えても読むことはできません。そういう子どもたちには、非常にやさしい絵本を読み聞かせることから始めます。
「英語で読み聞かせるなんて、英語ができる人じゃないと無理」と思われるかもしれません。でも、実は”読み聞かせ”は英語が苦手だという親にも気軽に続けられる方法なのです。詳しくは後で述べますが、親の英語の得意不得意に関係なく、親が子どもに読み聞かせることは子どもの英語力を育てるうえで非常に効果があります。日本語で簡単な状況説明を入れて、親子で物語を楽しみながら、英語での読み聞かせを続けるうちに、子どもは絵とストーリーを丸ごと吸収し、だんだんページに書いてある英文を追うようになっていくのです。

P17.18
レベルの低い、やさしい本ほど基本単語の使用率が高いので、基本単語を使った英語の口語的で簡潔な表現を身につけることができる

絵本といっても、芸術性の高いものには、非常に凝った表現のものがあり、外国人が英語を学ぶのに適切なものばかりではありません。しかし、やさしい絵本を読んでいくと、英語の基本的な語の使い方を自然に身につけることができます。
(中略)
ベン少年の家にパソコンセットの入った大きな箱が届きます。お父さんとお母さんはケーブルをつなごうとしますが、どこにつないだらよいかわかりません。
"Does this go here?"(これ、ここにつなぐの?)
日本語では簡単に言える表現ですが、英語にしようとすると「『つなぐ』ってconnectかな?」などと難しく考えてしまいます。それをgoを使ってこんなにやさしく表現することができるのです。次のページでベンがどこにつなぐか教えてあげます。するとパソコンが動いて家族は大喜びします。
"It works!"
「やった、うまくいった!動いた!」という表現であることは絵を見るとわかります。これも簡単ですが、すっと出てきにくい表現です。
(中略)
このような口語的で完結な表現はレベル7以上の大人向けのペーパーバックでは出現頻度が下がるのでレベルの高い本を読むより、レベルの低い本を読むほうが基本語の使い方が身につくのです。

P24.25.26
子どもはとくに焦らずゆっくりと

SSSの多読は100万語単位で大量に読む方法ですが、だからといって、まだ自分では英語の本が読めない子どもにも年間100万語単位で読み聞かせなさいというわけではありません。
中学生になって、子どもが本格的に読み始めれば、誰でも年間100万語単位で読めるのですから、幼児や小学生の間に焦って無理をする必要はありません。読み聞かせをしながら、英語のお話は楽しいという気持ちと、英語を英語のままで理解する基礎をゆっくり育てていけばよいのです。とくに、英語を始める最初の1年間はどんなにゆっくりしていてもゆっくりしすぎということはありません。読み聞かせは子どもがその気になっているときだけで十分です。
子どもへの読み聞かせを擦るときは、次の3点に注意して下さい。
1.非常にやさしい絵本(SSSのレベル0)から始める
2.焦らない・押しつけない
3.子どもと一緒に自分も楽しむ
とにかくやさしいレベルから、焦らず続ける
子どものペースに合わせて、非常に簡単なレベルから読み聞かせる
子どもも自分も楽しい
長く続けられる
子どもが英語だけでわかる部分が増えてくる
英語を英語のままで理解する基礎ができる

P28.29
2.継続しやすい
家庭で英語学習に取り組む際、子どもが幼児の場合はまだ時間をとりやすいですが、小学校に上がると宿題、塾、習い事などで急に忙しくなります。親のほうも家事や仕事がありますから、時間と手間のかかる英語学習法では長い間継続するのは困難です。でも、日本語の絵本の読み聞かせと同じ感覚で英語のやさしいお話を読み聞かせするだけなら、親の負担も少ないですし、子どもは大人に本を読み聞かせてもらうのが大好きですから長く続けることができます。幼児の場合、集中力が続かないので1回の時間は数分と短くてかまいません。(中略)
3.子どものインプット量が増やせる
英語教室に通っていたとしても、多くの場合週1回1時間程度ですから、次の授業までぽっかり間があいてしまいます。その間日本語だけで過ごすとすれば、あまり効果的とはいえないでしょう。しかし、家で一緒に読み聞かせや多読、あるいは、CDのリスニングをしていれば、毎日でも英語に触れることができます。1日あたりの時間が10〜15分と短くても、積み重なれば大変なインプット量になります。

P41
興味がなければ無理強いしない
このように、中学、高校から英語の多読を始めても非常に高い効果があるのですから、幼児や小学生が英語に興味を示さなくても、まったく焦る必要はないと思います。無理強いしたら、子どもの英語に対する興味をなくさせるだけです。英語が子どものストレスになっては元も子もありません。
それよりも、中学に上がるまでは日本語の読書習慣をつけて、読書の楽しみを知り、本の内容を理解する力を育てておくほうが大切です。それが、英語に限らず、数学や理科・社会科も含めてすべての学習の基礎になります。日本語でも読書が好きな子どもは、英語読書のレベルの上昇も早い傾向にあります。小学校の段階では、母語である日本語の習得ば第一です。日本語読書を大きく犠牲にしてまで英語をやる必要はないと思います。

P62〜66
親の発音で読み聞かせて大丈夫なのか?
「親が絵本を読み聞かせたら子どもの発音に悪影響があるのでは?」と心配される方は多いでしょう。しかし、ネイティブが吹き込んだ朗読テープやCDも聞かせていれば、1日1度や2度、親が読み聞かせたからといって親そっくりの発音になることはありません。子どもの耳は鋭いので、親の発音と朗読テープやCDのネイティブの発音をちゃんと聞き分けています。
食事のときや子どもが室内で遊んでいるときなどに、BGMのように絵本の朗読テープをかけ流すと、特別に時間をとらなくても自然に子どもの耳に入るので良い方法です。子どもは聞いていないようで意外に聞いていて、テープに合わせてつぶやいていたり、突然大声で真似したりして親が驚かされることがあります。最初はおぼつかない音でも、だんだん親には真似できないようなネイティブに近い発音をするようになります。
朗読だけでなく、マザーグースや英語の歌をかけ流したり、ビデオやケーブルテレビの英語アニメなど、英語の音に触れる機会をたくさんつくることはとても効果があります。ただ、ビデオやテレビは読み聞かせと違って一方通行です。子どもは画面を見続けるだけになってしまいがちですから、親が視聴時間をしっかり管理することが必要です。
私はド素人もいいとこのひどいローマ字読み発音しかできないんです。ですから、読み聞かせはちょっとなあと思っておりましたが、読み聞かせをしても子どもにはこの発音は浸透しませんでした。よかったよかった。(中略)最初に英語にふれるときから私の発音だけだったらどうかわかりませんが、主にビデオなどから触れる英語が本物だということに子どもも最初から気づいているようでした。(中略)お子さんに是非英語でも読み聞かせをしてあげてください。ご自分の発音の心配は無用です。お子さんにとって大切なことはお母さんと本を楽しむことを共有することです。世界一好きな人が英語の絵本を自分のために読んでくれるという楽しい時間を作ってあげてください。カセットテープ付きのやさしい絵本を利用すれば、正しい発音を聞かせてあげることもできます。テープを聞いていれば、お子さんの発音が親の日本語訛りの発音になってしまうことはありません。私は自分で読み聞かせるだけでなく、食事時にカセットテープで英語のお話をかけるということを子供たちが赤ん坊のときからやっています。1ヶ月間同じテープをかけるのです。別に耳を澄ませて聞きなさいという必要もなく、ただ食事時にはテープの英語が流れているという状態を作り出せばいいだけです。
自分の声で読むのはどうしても抵抗があるが
前項で述べたとおり、親の発音を気にする必要はありません。けれども、英語は久しぶりなので声に出すこと自体に抵抗がある、やっぱりちょっと不安という方もおられるでしょう。そんな場合は、カセットテープかCD付きの絵本を利用して、子どもと一緒に朗読を聞きながら、絵本のページをめくってあげるとよいでしょう。この方法だと親の負担がぐっと少なく、気軽に始められます。テープを聞くことで、子どもだけでなく親の発音も向上します。また、いつかお子さんに自分が読んであげようという気持ちになったとき、ネイティブの朗読が耳に残っているのでかなり楽に声に出せると思います。(中略)
全部英語で通さないとダメなのか?
英語の絵本だからといって、ずっと英語で通さなくてもかまいません。必要があれば英語で読み聞かせながら日本語で絵やストーリーについて話してあげてください。しかし、英文の一言一句を逐語的に日本語に訳すと、子どもも日本語に訳しながら読むことになり、英語をそのまま理解できるようにならないので、それは避けて下さい。絵本の見開き2ページの大体の状況を簡単に説明する程度で十分です。そのうちだんだん子どもが英語だけで理解できる部分が増えていきますし、親が説明する前に、子どもが絵からパッと意味をつかみとることもあります。
子どもが「○○って日本語でなんていうの?」と尋ねてくることもあります。そういうときは教えてかまいませんが、意味だけでなく、その絵本の「状況」とともに説明してあげて下さい。こんな感じだよ、と表情やジェスチャーで意味を表現するのもよいと思います。

P71
焦らない・押しつけない
子どもの日本語能力が伸びて、日本語で込み入ったお話を楽しめるようになると、英語より日本語への興味がずっと強くなり、日本語の読み聞かせばかりせがむことがあります。
ここで親が英語の読み聞かせを押しつけると、読み聞かせの楽しさが消えてしまいます。そんなときは子どもの好きな日本語の本をたっぷり読み聞かせてあげて下さい。英語はごく短い絵本にする、あるいは気分が変わるまで放っておくなど、落ち着いて待ちましょう。
子どものために良かれと思ったことでも、強要するとかえって逆効果です。子どもは「お勉強」の匂いを敏感に察知するので、押しつけるとそっぽを向いてしまいます。まず、親が英語読書を楽しみましょう。子どもは親のことをよく見ています。子どもが乗ってきそうだなと感じたら、少しずつ本を読み聞かせたり、一緒にカセットテープやCDを聞いたりと、ゆっくり始めてみましょう。

P73.74
読み聞かせを毎日のようにできればそれは理想的ですが、別に毎日でなくてもよいのです。根を詰めて挫折するよりも、ずぼらに、気が向いたときに一緒に読んで長く続けるほうがはるかによいのです。(中略)読み聞かせのペースは平均すると1週間に1回。1回の読み聞かせ時間も10分程度です。子どもは気が向いたときは何冊も続けて読み聞かせてもらいたがりますが、気が向かないと3,4週間、英語での読み聞かせがないこともあります。日本語の本が大好きなので、日本語の絵本の読み聞かせは毎晩寝る前にしています。読み聞かせた絵本の朗読テープは朝の身支度や食事のときなどにほぼ毎日かけています。だいたい1日30分〜1時間くらいです。